明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-73 最強のアナログ・・「きもの」(その3)

ゆうきくんの言いたい放題

 ホームページを立ち上げ、数カ月すると注文がポツリポツリ入り始めた。主流は安価な小物である。特に他で扱わない商品は注文が入った。当時はまだ競争相手が少なかったと言う事情もあるかもしれない。そして、着物や帯の注文や問い合わせも少しではあるが入って来た。

 その後、父の懸念をよそに今インターネットでの呉服の販売は花盛りである。着物や帯をインターネットで買った、と言う話はよく聞く。私の店にもインターネットで買った着物が持ち込まれる事もある。どれだけの着物や帯がインターネットで売られているのだろう。

 呉服のサイトは星の数ほどある。数千点の商品が並べられたサイトから、数点の商品が並んでいるサイトまで。そして、それらの商品の価格はまちまちである。非常に高価な商品を掲載しているサイトもあるが、多くは非常に価格の安いサイトである。

 インターネットを利用する消費者のターゲットは商品の安さにあるように思える。

 私は商品を見れば大概どの程度のものかは分かる。中古品、古着についてはそれぞれなので分からないが、新品については大体分かる。サイトに並んでいる商品についても同じである。

 サイトには、どのような商品が、何故安く並べられているかについては以前触れたので割愛するが、消費者がサイトの安い商品に群がるのは、巷で余りにも着物が高い価格で売られていると言う事情がある。

 いわゆる展示会で販売される商品がべらぼうに高い価格が付けられている事も以前触れた。展示会に誘われたり、家に訪問されて並べられる商品に比べてサイトの商品はとてつもなく安く見える。展示会で見た商品と同じ物がサイトにあったとしたら、消費者はその差に驚いてしまう。

 消費者をサイトに押しやってしまった原因は、展示会や訪問販売で売られている商品には異常な価格が付けられている事と無関係ではない。着物の本当の価格が分からなくなってしまった消費者には無理もない事である。

 しかし、着物は「見て、触って、着てみて初めてその良さが分かる」と言うのは事実である。私の店にいらっしゃるお客様を考えると、少しの色の違いに拘り、生地の風合いを選ぶという感覚からはネットで買物をするとは思えない。そして、呉服は一点一点が違うもので、厳密に言えば、同じ物は二つとない。同じ絣柄の同じ結城紬であっても、比べれば好みの良し悪しは異なる。数値やデータには表せない究極のアナログ商品である。

 呉服は型番で特定できる商品でもなければ、アパレルの様に同じ商品を大量に創る商品でもない。最強のアナログ商品として消費者に見て頂きたいのだが、呉服業界の消費者を無視した商法が消費者をサイトの商品に押しやってしまった事は、将来日本人にとって呉服がどのように扱われるのか心配でならない。

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