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全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-62 ミスユニバース

ゆうきくんの言いたい放題

 ミスユニバース日本代表の衣装が物議を醸している。WEB上で見つけた記事である。
「せめて左前はやめて欲しかった」ミス・ユニバース日本代表の“伝統衣装”に批判続出(ハフポスト日本版) – Yahoo!ニュース

 この記事を読んでみた。表題の「せめて左前はやめて欲しかったと言う行から、ミスユニバース日本代表が左前に着物を着て登場したのだと思った。しかし、当の画像を見ると、着ている衣装はとても着物には見えない。左前のドレスに、強いて言えば小振袖の様な袖が日章旗である。そして、菊の御紋章を付けたチャンピオンベルトの様な物を締めている。(菊の御紋章は本選の時替えたらしい)胸には地肌に「日本」と下手な漢字が書いてある。そして、両手に何故か招き猫を持ってステージを歩いていた。

 とても着物には見えないし、私の目にはドレスとしても素晴らしいとは言えなかった。

 一瞬、「何故、この衣装が「せめて左前はやめて欲しかった」と批判されなければならないのか。」と思った。イスラエルのデザイナーがデザインしたらしいのだが、勝手にやっていることをとやかく言う筋合いはないと思ったのだが、読み進めると事情はそうではないらしい。

 ミスユニバースの大会では、いくつかのステージがあり、そのステージは出身の国や民族の衣装またはそれをイメージする衣装で登場するらしい。確かに他の候補者の中には民族衣装の人もいる。そのステージでの衣装が批判されたのである。

 その目で見れば見方も変わって来る。

 この衣装はとても着物には見えない。他の日本伝統の衣装、束帯や十二単、衣装(きぬも)等とも全く違う、言わば何が何だか分からない衣装である。現代の衣装デザイナーが創作したドレスであり、そこにデザイナーの目線上の日本、知識上の日本を何かしら採り入れたものなのだろう。

 ミスユニバース世界大会と言う場で「これが日本の衣装」「これが日本のイメージ」と全世界の人達に発信するのであれば、やはり大きな問題と言える。

 ただし、これを非難し是正するのはとても難しい。「続きもの春秋 9.伝統文化を伝える難しさ」で書いた通り、日本文化のみならず、ある国ある民族の文化を正確に他国他民族に伝えるのはとても難しい。

 そのイスラエルのデザイナーは本気になってその衣装に日本の伝統を折り込もうとしたのかもしれない。しかし、日本人が他国の文化を理解するのが難しいように、イスラエルのデザイナーが日本文化を十分に(他国に紹介できる程)理解するのは難しい。  

 卑近な例では、日本人が食べて来たカレーライスは、本物のインドカレーその他本場のカレーとは全く違う事に気づかされる。日本で食される中華料理は、中国の料理とは違うものと感じさせられる。最近は、本場のインドカレーや中国人が経営する中国料理店が増えたためにその違い、日本人が創ったカレーライス、日本人が創った中国料理と言うことがよく分かる。日本人にはインドのスパイスや中国の香料がピンとこないし、美味しいと思わない人もいるだろう 。

                                              つづく

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