明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-65 きものと帯の合わせ方(その3)

ゆうきくんの言いたい放題

 色や柄の合わせ方はセンスの問題である。問題を一から考えよう。

「〇〇色の着物には××色の帯を合わせなければならない。」
と言う決まりは無い。柄にしても同じである。
「この柄のきものには、この柄の帯を。」
と言う決まりは無い。

 しかし、色や柄の組み合わせは、何でも良いわけではない。きものを着ている人に合うと、
「なんてセンスが良いのだろう。」
と感じられるきものの着方をしている人がいる。それは、色の組み合わせだったり、また柄の組み合わせだったりする。本当に素敵だなと思わせる人は、案外他の人が着ないきものと帯の組み合わせだったりする。

 以前、東京で素敵な着物姿の御婦人を見かけたことがあった。そのご婦人は、黒の大島紬に黒の染帯だった。普通は余り考えない組み合わせなのだけれども、大島と染帯の柄も実によく調和していた。真似をしようと思っても真似ができないのでは、とも思えた。非常に奇抜だけれども、大島と染帯の柄も良く合っているし嫌みがない。黒に黒と聞けばケバケバしい異様な、あるいは、「その筋の方」の様にも思えるけれども、そんな感じは一切しない。

 また、大分前の事になるが、私の店で「花井幸子のきもの」を扱った事がある。花井幸子さんは洋服のデザイナー。その花井さんが着物のデザインをしていた。商品は、振袖から訪問着、小紋、色無地、帯。そして帯締めや帯揚も創っていた。

 特徴は、「色」で、色無地など結構売れた。その「色」は独特で「花井幸子のきもの」を印象付けていた。私も花井幸子の商品を扱うようになってから、花井先生の色の感覚が次第に分かって来た。

 東京で展示会があった時、花井先生がいらした事があった。その時、先生の目の前で、
「このきものと帯には、この帯揚を合わせれば良いのですね。」
そう言うと花井先生は、
「そうです。そうです。それで良いのです。」
と言ってくれた。

 花井先生の色合わせは独特である。そしてとても魅力がある。花井先生の着物には、花井先生のきものが良く合い、帯締め帯揚も花井先生の物が合う。しかし、独特の色だけに、他の色の帯締めや帯揚は合わせにくい。

 結局、色の好みは人それぞれである。一般に「合わない」と思われる組み合わせも見事にセンス良く合わせて着こなす人もいる。
「〇色には×色しか合わない。」
と言う事は絶対にない。誤解を恐れずに言えば、
「色、柄の組み合わせに決まりは無い。」
と言える。しかし、それだけに色柄の組み合わせは難しい。「絶対に間違い」はないけれども、「どちらの組み合わせが素敵か」は厳然として有る。

 知らないオバサンから、
「その色の組み合わせは間違っていますよ。」
と言われるのは筋違いである。そういう意味では、自分のセンスで色、柄を選んでいただきたいが、センスを磨くことが大切である。

 私がお客様から色柄の合わせ方を相談されれば、「私の好みですが」を枕詞にアドバイスさせていただいている。私は、呉服の経験を積んでいるが、コーディネートのプロではない。私の好みの組み合わせを参考の為の一例としてアドバイスさせていただいている。

                                          つづく

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