明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-65 きものと帯の合わせ方(その4)

ゆうきくんの言いたい放題

 色柄の合わせ方は、その人の好みによるところが大きい。まるで合わない組み合わせであれば、指摘できるけれども、その振れ幅は大きい。私の好みで指南する事もできるが、紙面で説明するのは難しい。

 色柄の組み合わせについては、周囲の人のアドバイスを受けながら、経験が磨くものと思う。

 さて、もう一つきものと帯の合わせ方で大切なのが、きものと帯の格の合わせ方である。こちらは、色柄の組み合わせと違って人の好みで左右されるものではない。人によって若干の見解の相違はあるけれども、まるで格の違った組み合わせはできないし、「きもの警察」でなくても、
「その組み合わせはおかしいですよ。」
と言われてもしょうがない。

 では、まず「格」とは何かを説明しよう。

 きもの、洋服に限らず、毎日の生活の中で着るべきシーンは変わる。普段、家でくつろぐ時、仕事に行く時、結婚式など改まった席に出る時、遊びに行く時など、毎日の生活には様々なシーンがある。洋服を例に採ってみよう。

 遊びに行く時には、ジーパンやTシャツなどの服装である。仕事に行く時にはそれらしい服装である。スーツであったり、作業服であったり、白衣を着る人もいるだろう。そして、結婚式に出席する時にはドレスであったりスーツであったりする。同じスーツでも、仕事で着るスーツと結婚式で着るスーツでは違いがある。葬式には黒のスーツである。

 洋服を着るシーンを系列的にまとめて見ると、結婚式や葬式で着るフォーマル。そして、遊びや家でくつろぐ時のカジュアル。その両極の間に全ての洋服が位置づけられる。

 きものも同じである。フォーマルは「格が高い」、カジュアルは「格が低い」位置にある。ここで注意していただきたいのは、「高い、低い」と言うのは、カジュアルを卑下している訳ではなく、また、「高価である」「安っぽい」とは全く意味が違う。

 きものの世界では良く言われることだけれども、
「結城紬はいくら(価格が)高くても普段着(格が低い)。」
本場結城紬は非常に高価である。細かい絣になると100万円以上するものも珍しくはない。しかし、結城紬で結婚式に出席する事はできないし、葬式に参列する事もできない。「格」と「価格」は全く別物である。

 きものに格があるのと同じように、帯にも格がある。きものと帯の組み合わせは、このきものの格と帯の格を合わせる事である。

 女性のきもので最も格が高いと言われているのは留袖である。結婚式で母親や親族、仲人が着るきものである。この留袖に紬の名古屋帯を締めたとしたらどうだろう。誰でも違和感を感じる事だろう。反対に、紬に振袖用の袋帯を締めたらどうだろう。こちらも、誰もがおかしいと感じるに違いない。

                                         つづく

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