明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-67 和の終焉

ゆうきくんの言いたい放題

 先日、和菓子屋倒産の記事が出ていた。和菓子屋に限らず中小企業の倒産は珍しい事ではなく、格別話題にするまでもないのだが、その記事によると全国的に大手の老舗和菓子屋が倒産または閉店・廃業していると言う。「和菓子」と「和服」を重ねて考えると他人事とは思えない。

 その記事に目が留まったのは、倒産したと言う和菓子屋の菓子を良く知っていたからだった。「紀の国屋」と言う和菓子屋で、「相国最中」「おこじゅ」と言う菓子を東京に住む姉が良く土産に持って来てくれていた。有名で大きな和菓子屋さんで、「えっ、あの和菓子屋さんが倒産?」と驚いた。

 いくら大きな老舗店でも倒産もあり得ない話ではない。だいぶ昔に、金沢の老舗和菓子店「森八」が倒産したと言って驚いたことがあった。「森八」は「長生殿」と言う銘菓を創る加賀前田藩からの老舗である。「森八」はその後再建して現在も続けているが、「紀の国屋」の場合は完全閉店らしい。そして、全国的に和菓子屋の閉店が続いていると言う。和菓子屋倒産の記事は他にもあり、「紀の国屋」以外の和菓子屋について書いた記事もあった。

 さて、何故全国的に和菓子屋の倒産が相次いでいるのか。記事によってその分析も様々だった。
「コロナ禍の影響」と言う説がある。倒産の引き金になったことは間違いない。「顧客の高齢化」「原材料の高騰」「和菓子を食べる機会の減少」というのもある。

 また、「都市部を中心に和菓子文化の衰退」「若い人は「ういろう」「ねりきり」「落雁」を知らない」「イメージ的に洋菓子よりも堅苦しい」と言う説もあった。

 製造する立場からは、「熟練と重労働の和菓子職人が減っている。」。経営の立場からは、「新しい価値を創り出せていない。」「中小企業のおごり」と言う意見もあった。

 いずれの説も多かれ少なかれ影響しているのだろうけれども、やはり根底には「和の縮小」があることは否めない。

「和菓子」「和服」「和室」「和柄」など「和」の付く物は多い。この「和」とは何を指すのだろう。「和」は「日本の」と置き換えられるかもしれない。「和菓子」は「日本のお菓子」、「和服」は「日本の服(衣装)」、「和室」は「日本の部屋」、「和柄」は「日本の柄」と言うように。

 しかし、「和」と「日本の」が意味する物は微妙に違う。「和食」と言えば「日本の食事」だが、「日本の食事」と言えば必ずしも「和食」を意味しない。「現代日本人が食している料理」と言う事になる。「和傘」は「日本の傘」であるが、「日本の傘」は日本で生産された傘を指すこともある。「和」は「日本の」の意味する物の一部である。

                                             つづく

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