明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-77 寿司屋と呉服屋(その2)

ゆうきくんの言いたい放題

お詫び。先週不慮の怪我をしてしばらくリタイヤしておりました。1回お休みしてしまいました。

 何故安かったのかと観察してみると、ネタが薄い事もあったが、ネタがあらかじめ切って並べてある。客に注文を貰えば、直ぐに切り身を手に取り、シャリで握る。握りの合理化である。成る程うまい事を考えたものだ、と思って見ていた。

 壁にその日のネタと価格が掛かれた札が並べてある。価格順に左側が高く、右側が安い。一番右側には「げそ」「コハダ」「シメサバ」等が並んでいる。左端には、「大トロ」「赤貝」「アワビ」「うに」が並んでいる。右端のネタは80円位だったと思う。

 ある時、給料日の後の事だった。休みの日にお腹が空いたので、寮の友人とその寿司屋に行こうと言う事になった。今日はたくさん食べてやろうと勇んで寿司屋の暖簾をくぐった。

 早速注文する。「げそ」「コハダ」「シメサバ」と、壁の値段札の右側から注文して行った。友人と、
「右からどこまで食べられるか競争しようか。」
などと話して食べていた。

  十皿くらい食べた時だろうか。目の前で握っている職人さんが、
「お客さん、もつと良いネタも注文してくださいよ。」
そう言われて、しっかり監視されているのに気が付いた。それから一皿二皿やや高いネタを注文したように思う。

 寿司は日本人であれば誰でも食べたがる。しかし、若い人(私の様な低所得者)には中々ありつけなかった。

 しかし、最近は回転寿司があちらこちらで見かける。店内に入れば家族連れや、昼食を食べに来たサラリーマンなど、普通の大衆食堂と見まがう風情である。

 一方で、回転寿司が増えた分、今迄の寿司屋さんが減っている。以前父が贔屓にしていた寿司屋さんも大分前に閉めてしまった。そして、街の中を見回すと、「ここには寿司屋があったな」と思えるところは、他の店に変わってしまっている。

 昔は寿司屋が多かった。親父さんと女将さんが二人で切り盛りする小さな寿司屋さんが数多く合った。頑固なオヤジさんが握る寿司が美味いとか、あそこの寿司屋はネタが良いとか、どこそこは安いと言った話をよく聞いた。しかし、そう言った寿司屋は、今は回転寿司のはざまで数える程しか残っていない。

 先日、山形で昔から続いている寿司屋に行って来た。とても美味しい寿司屋だけれども、経済的に私はなかなか行けない。年に二度三度である。正月休み(正月は休みがないので一月末)に女房と行ってきた。

 寿司は美味しい。回転寿司の寿司とは違って、握りの味と言うのだろうか。型で押したシャリに魚の切り身を載せた回転寿司の寿司とは違う。また料理もおいしい。酢の物や向付、焼き物もきちんと料理されている。

 客の入りは、と言うと十分に入っている。八割方席が埋まっている。従来の寿司屋は回転寿司を相手に苦戦しているが、そんな風には思えない。店が繁盛するのは主人をはじめ、店の人達の努力に寄る物だけれども、そればかりとは思えない。

 食べながら、
「勘定はいくらになるだろう。回転寿司だったら何回食べに行けるのだろう。」
とまた貧乏根性が頭をもたげたが、ふと思った。
「あれっ、呉服業界と同じじゃないか。」

                                                 つづく

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