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全日本きもの研究会 きもの春秋終論

ちょっと一休み「正月に思う」

きもの春秋終論

 あけましておめでとうございます。

 いつも堅苦しい話をしていますので、今回は「ちょっと一休み」正月についての薀蓄を語ります。

 今年も正月になりました。私は今年還暦を迎えます。早いもので、これまで60回正月を迎えたことになります。あっという間のことのように思えます。最近は一年がとても早く感じます。子供の頃は一週間さえも長く感じられましたが、最近は一月が瞬く間に過ぎてしまいます。時間の経過が早く感じられるのは、地球が高速回転し始めたわけではありません。歳をとるにつれて時間の経過が早く感じられるのだそうです。

 人は時間の経過をそれまで生きてきた時間と比べるらしいのです。10歳の子供にとって1年は10分の1ですが、60歳の人にとっては60分の1にしか過ぎません。これから私の時間ももっと早くなるのでしょう。

 さて、正月と言えば・・・・昔はもっと楽しかったように思えます。子供の頃、年末のクリスマスから正月はとても楽しみでしょうがなかったように思えます。子供にはクリスマスプレゼント、お年玉と言った楽しみがありましたが、そればかりではありません。大晦日の夜は遅くまで起きていられる特別な日でした。

 そう、昔の正月は特別な日でした。一年の最初のハレの日として誰しも感じていました。一部の人を除いて皆が休日です。商売をしていた私の家では祖父、祖母、父母が一緒に休日を享受するのは正月だけでした。

 正月はハレの日として着物を着る人も多く、仕事始めでは振袖を着るデパートの店員や銀行員にもお目にかかれました。なんとも待ち遠しい正月でした。

 しかし、今はどうでしょうか。正月は只の休日になってしまったようです。正月が楽しかったのは私の子供心のなせる業だったのでしょうか。いや、そうではないでしょう。

 昔は、年末年始といっても休みはそう長くはありませんでした。お役所は28日に仕事納め、そして4日に仕事始め。民間では年末ぎりぎりまで仕事をする会社も少なくはありませんでした。しかし、最近は8連休、10連休といった大型連休の会社もあり、正月を迎える頃にはもう休み疲れなのでしょうか、正月の緊張感はなくなってしまいます。

 国民が厳粛に迎えてきた正月も、大手の流通業が正月営業を始めるに至り、その傾向は一気に広がっていった様に思えます。厳しい経済戦争を勝ち残る為とは言え、日本人の大切な処まで切り込んで失うものはないのでしょうか。

 正月には振袖を着て歩く若い女性を見たいと思うのは私だけでしょうか。

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